400エンジンそれから・・・第十三話

1999年頃の話

エンジン換装し何百キロかの慣らし運転を堪えに堪えて終えたので徐々にレッドゾーンまで回転を 上げていきだしたのだが、相変わらず振動も凄くてミラーなんて見えたものではなかった。

とにかく手で触って簡単にグラグラするパーツは、ゴムパーツやマウント方法を見直して徹底的に 振動を排除する方向で作業は進む。

エンジンも上まで回すのが好きなので、慣らし運転完了後はとにかく回していた。キャブも極力安定するようにセッティング等を見直していくと、現代のバイクには劣るがかなり振動も低減されてきたのだ。

この当時考えていたことは、果たしてXSが新車だった頃、ここまで振動はひどかったのだろうか? この一点につきる。

小さな作業の積み重ねで振動が減ったことは本当に嬉しかった。

振動が完全に無い滑らかなのもつまらないけど、ひどい振動で乗るのがストレスになるのもまた つまらないことだもんね。

「あー良かった。」

ところが安心はしていられない、何年ぶりかに火が入ったエンジンは至るところから老化症状を見せ始めていたのだ。

腰下のオイルシールの劣化によりオイルがポタポタと垂れ出すのを気付くのに時間は掛からなかった。 ことごとくオイルシールを交換し、エンジンのカバー類もひたすら磨いてドレスアップ。

結構磨くだけの単調な作業は私にとっては楽しい!いや楽しすぎる。心を無にし、体の感覚を麻痺させ ながらひたすら磨き続ける。こんなに地道な繰り返しが他の事に生かせたらどんなにすごいことだろう!

磨きながら、これが自分の持つ能力の限界なのだろうか?等と煩悩を考え始めたらもう磨くのは止めに する。やはり磨きは心を無にせねば!

まだまだ修行は続くのだ!

400エンジンそれから・・・第十三話完

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