XS日記番外編・世界のホンダ=CD50の話
★第一部(第十九話)

XSと関わる以前の話を何話かに渡って続けてみようかと思う。少し専門用語らしき単語も飛び出すが、気にせずに読み流して欲しい、何故なら、悲惨な結末へ向かって初期の原付人生は泥沼金欠貧乏的壮絶破壊を繰り返し、最期を迎えるからなのだ。前置きはこのくらいにして話を進めてみよう。

XSを譲ってもらう以前は当然のことながら原付免許しかなかったのでスクーターのホンダ=DIO−SPに乗っていた。1997年頃の話だろうか?

毎日25Kmの道のりでDIOに乗っていたので30Km/h制限はもどかしい上に、最高速も60Km/h止まりでもう少しスピードがなんとかならないか考えていた始末。

でまだ何をどうしたら速くなるかも良く判らないままに、キットでハイスピードプーリーが販売されていることを知った。組みつけ方もままならない状態だったが、これを組めば速くなるという一心で気付けば買っていた。

だが・・・初めて工具を手にし、ボルトを締めたり緩めたりの範囲はまだ良いのだが、ここで初めて難題に直面する。は?専用工具・・・んなもの使うなよ、汎用性あっての工具だろ!ってのが最初の感想だ。

ローター等の回転体をいかにして固定し、センターボルトを外すかという問題だったのだ。専用工具でローターの空転止め工具(かに目レンチ、ユニバーサルホルダー)があるのは知っていたが、そんなものを買おうとも思わなかった。金欠とか言う以前に滅多に使わない工具なんて欲しくなかった。

で、いかにしてローターを固定するか悩みまくったのだが、ふと閃いた。金属板を加工してギアの間に挟めば良いとね。んで、フルパワーうんにゃっと回してローターが外れ、ハイスピードプーリーを組み込む過程に達する。

この頃からそうだったのだが、作業をする時はいつも覚悟が違った。自宅では作業できなかったので、常に出先の掘っ建て小屋(初代ガレージ)での作業は、終らせないと家に帰れなかったからだ。

で、ハイスピードプーリーと、軽量ウエイトローラーを組み付けてみた。

結果はというと・・・遅い・・・

とにかく出だしの加速が遅かったが、ある程度速度が乗ると一気に加速しだして伴走のバイクに速度を計ってもらったら80キロ半ば出ていることが判明した。加速は遅いけど、長い距離ノンストップで乗ることが多かったから、これで満足だった。

とはいえ、こんな素人騙しなローターの締め付けで何が一体締まるというのか。今思い出してみると考えられないことだが、いい加減に締め付けたローターが走行中にガラッと外れていきなり停止してしまったのだ。

あーあー・・・結局道端でケースを開けてみるとやはり外れていた。仕方ないのでガススタに頼み込んで工具を借りて再締め付けし、そのまま初代ガレージへのんびりと向かった。

こんなんで走れなくなるのは馬鹿げているので今度はネジロックを塗布し、限界まで閉めこんで作業完了。サスもデイトナから出ている赤いサスを組み込んで乗車フィーリングもかなり改善された。

外装もダサダサだったので、渋く紺色に塗り替えたのだが、これも大変だった。外装のデカールや塗装を全て手作業で落としていったのだ。で缶スプレーで塗装し完成。

これまた写真が無いのが残念だが無いものは無いのだ!

で、結局メーター何周乗っただろうか?二周はしてたはず。でも足としてのスクーターは便利だったが乗ってるときの満足感が乏しくなり、ギア付きの原付が欲しくて仕方なくなった。スクーターを敵視するようになったのもこの頃からだろうか・・・

候補もいろいろあったのだが、長く乗れて、いじれて、高燃費で荷物が載せられるということを念頭に毎日毎日どんな車種がいいか考え続ける日々。

バイク購入計画を考え出して以来、かなりストイックな生活が続いた。飲み物代をケチる為に水筒を持っていた程だった。

で考えた挙句に達した結論は、世界のホンダCD50だった。とにかく仕事で使う巷のオヤジがその信頼性は実証していたのでオヤジバイクという点は除いて、まさにベストな一台だった。エンジンは猿(=モンキー)系だったし・・・(実は猿軍団出身・・・猿を知らずべくして、打倒猿は目論めない?)

ようやく予算に達してCD50を買うことにした。バイク屋に行って契約を済まし、登録は自分でやると安くなるよ!ってな話だったので、自分で市役所まで足を運んでナンバーを交付してもらいいよいよ納車となった。

これまた家よりも随分遠いところで購入したので帰り道は信じられないほど恐ろしかった。とにかくクラッチと変速をうまく連動させられないんだよ。で、混乱してきていきなりエンブレ掛けたり、発進時にクラッチの操作忘れていきなりエンストしたり。

もう何もかもがガチャポコで、なんでこんなにマニュアル変速はややこしいんだ?と頭を悩ませていた。

片手では弾けるのに両手になると弾けなくなる習い初めのピアノと同じで全てが苦痛に感じたほどだ。

しかも変速は4速ロータリーだったので、4速から3速に落とすのを間違えて反対に操作するといきなり1速に入ってエライ目に合うのだ。
家に帰る途中で少し慣れてきて4速クルージングを楽しみつつ、油断して逆にチェンジして1速に叩き込んで過激なエンジンブレーキが働いて何度ひっくり返りそうになったかわかったものじゃない。

なんて恐ろしい乗り物を買ってしまったんだろうと悩みつつ、ようやく家に帰ると、その日はバイクの事は考えたくなかった。

次の話も悲しい結末へひたむきにかつ確実に走り続ける、世界のホンダCD50編だ、乞うご期待!

XS日記番外編・CD50の話 第一部(第十九話)・完

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