GARAGEツーリング
2004開幕ステージT
「さよなら旗艦02年仕様〜悶絶昇天」
第四部(第37
話)


                          ↑東名高速へ導かれ行く艦隊

いよいよ艦隊決戦が始まる。先行するマシンはVT250、クラブマン、宇賀SR、そして我が旗艦。
驚いた事に、クラブマンが予想以上の速さを見せ付ける。ぬえわKm/hは超えていたであろうか?
沼津から御殿場に向けて長い登りが始まる、旗艦は長い登りをぬえわKm/h以上で全速前進。全伏せあるのみ。
油温がグングン上昇していく、115度前後を行ったり来たりする中、いよいよ御殿場から下りステージが始まる。

今日のセッティングはドンピシャだった、これまでに無い吹け上がり。メーターに顔が付くほどに伏せ、重いCRキャブのスロットルに負けないように絶えず全開付近をキープ。重さに負けないポイントは小指!若干意識しつつ、小指でハンドルを握る感触が重要。そうすると戻る力に負ける事無くスロットルをキープし易いのである。

先行する宇賀SRに必死で食らい付く。ああ、ニュー宇賀SR、完全改修作業を終えたそのマシンは速かった。ジワリジワリと離されていく。ぬおわKm/h〜ぬやわKm/hでひたすらハイスピードコーナーを抜け行く・・・

だがハンデを決して忘れてはならない。旗艦XSは391CC、対して宇賀SR号は525CC、この排気量差どうしてくれるのか!!
この話題に触れるとマンキホンダVT250Fが次回はVF400Fで参戦すると言い出しそうなので、この辺で終了にしておく。

ふっとミラーを見ると、ま、まずい、またしてもホンダの攻撃が開始されようとしていた。
余裕の大パワーで全てを粉砕するかの如くBMW1100RTが近づいてきた。武装された装甲は実に快適らしい、なんでも140Km/h巡航くらいまでラジオが聞けると言うそのデラックスな作りには成す術がない。

挙句にはその巨大なBMWの後ろには・・・あろうことか、VT250がコバンザメ同様に引っ付いてきた。

「ス、スリップストリームだ!!マジかよ・・・」

ああ、SR&XS二台で今まで逃げ続け、風と戦ってきた努力は報われなかった。
BMWの影からVT250がファ〜っと抜け出すとカウルの恩恵もあって、じわじわと離されつつある。

こうなれば総力戦だ。

いよいよ旗艦に最後の指令が下された。「レッドゾーンは気にするな!」
全てを託し、全伏せ、スロットルは完全に全開固定。

「おお、す、すごい、グングン伸びていく」
この領域まで回し続けるともはや振動も気にならなくなる。むしろ車体の挙動変化に気を配り出す。
風の抵抗や衝撃に長時間耐えていると、気づけばガチガチの緊張状態に体がなっていたりするのだが、そこで出来るだけ力を抜け!と自分自身に言い聞かす事が一つの重要なポイントでもあったりする。

六速、9千回転でほぼ「ぬやわKm/h」前後だろうか・・・
そのままアクセルは完全固定、ほとんどメーターは見ていられない。だが伸びる、伸び続ける。既に何キロで走っているのかも全くわからない領域だった。低回転時には不連続不協和音に聞こえた音が、全て連続したサウンドに変わっていく。

レッドゾーンに躊躇無く突入。半端じゃなく伸びる。その瞬間、400エンジンが壊れても良いと言う覚悟と同時に02年仕様と永遠の別れをする決意をした。

「た、頼む、頑張ってくれ」
ただひたすらにエンジンに念を送り続けた。

確実に近づける、これなら絶対に行ける。ぶっ壊れる事を気にする事無くレッドゾーンまで思いっきりぶん回した。
「見切った!!」

決死の覚悟でロックオンしようとしたその瞬間、ヘッドライトのバルブが切れた。これが現実の厳しさというものか。

「ああ・・・負けた。」

いつも激戦を制することが出来ないなんて・・・

目の前が真っ暗になり、激戦場をゆっくりと離脱、途中のバス停に寄り、すぐにヘッドライトバルブを交換し、コースに復帰するも時既に遅し。

旗艦はやはりうな垂れていた。それ以上にsoulucgは打ちのめされていた。わかってるんだ、それ以上、もう何も言わないでくれ。

本当に良く戦った、ひたすらに全開くれて走らせた我が旗艦は単独で海老名SAまで快走する。
長い下りステージで味わったあの怒涛の吹け上がりには我ながら本当に感動した。
いや、マジであのアップハンドルでも出ちゃうから不思議。(本人が一番驚き。)

今回の総攻撃によって、長きに渡って君臨し続けたsoulucg旗艦XS号の2002年仕様は再度轟沈した。これまでの二年間、堂々たる旗艦としてありとあらゆるステージを戦い抜いてきた事は決して忘れない。時に風を斬り、時に殿様乗りで大名気分を味わえた時間は至福の喜びであった。

海老名SAに辿り着くと、先行組は既に談笑中。全員が揃うのを待ってから、今日一日を振り返りつつ閉会式を以て終了。


今回は初の女性二人の参加、そして親子での参加などなど、今までの野郎ばかりのツーリングとは何か違うモノがありました。
そんな今までには無いシチュエーションがより華を添えていただき、本当にありがとうございます。

個々のペースで楽しく走れるツーリングを最大のテーマとして掲げ、思い出に残るイベントになれば、幸いであります。

今回参加してくださった方々、改めて本当にありがとうございます。

参加したかったけど、都合付かなかった方々、是非次回以降お会いできれば幸いです。
また参加したいけど、勇気がない方、それはあまりにも勿体無い、是非参加してみてください。

くれぐれも日々のメンテナンスは抜かりなく、ネジの締め忘れ??十分に点検してください。

次回以降、また会おう!!

「飽くなき探求道に決して終わりは無い。」

 

後日・・・轟沈した旗艦はステージUに向けて、再度大掛かりな改修作業を行う事が決定された。これにより2002年仕様の旗艦は自動的に2004年仕様へと名称が変更され、また次なる地へ赴くことになる。

GARAGE-UCGを母港に、soulucg直々に駆り立てる2004年仕様の旗艦はまだ頭の中に浮かぶ形だけで、現実のモノにはなっていない。現実の姿になって登場した時、果たして真の力を発揮させる事が出来るのか??その結果はまだ誰も知らない、いや知る由も無い・・・

2004年4月22日執筆 

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